日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
112 巻, 6 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 肺癌診療の進歩
Editorial
トピックス
MCQ
シリーズ:地域医療を実践する内科医とは
シリーズ:診療ガイドラインat a glance
今月の症例
  • 島田 貴仁, 長沼 篤, 成清 弘明, 田村 優樹, 都丸 翔太, 佐野 希望, 鈴木 悠平, 増田 智之, 安岡 秀敏, 星野 崇, 柿崎 ...
    2023 年112 巻6 号 p. 998-1004
    発行日: 2023/06/10
    公開日: 2024/06/10
    ジャーナル フリー

    70代,女性.突然の背部痛で発症し,腹痛,顔面蒼白のため救急搬入された.初診時出血性ショックの状態であり,造影CTでは肝右葉内に巨大な仮性動脈瘤を認めた.また肝被膜下血腫と血性腹水も伴っていた.緊急腹部血管造影を施行した結果,肝内肝動脈瘤破綻による仮性動脈瘤形成の状況と診断し,コイル塞栓術を行った.本症例は肝胆膵の手術歴や肝内結石の既往は無く,肝内肝動脈瘤が自然破裂した極めて稀な症例であった.

  • 小林 俊諒, 豊嶋 弘一, 山田 英嗣, 南 博仁, 藤枝 敦史, 玉木 茂久
    2023 年112 巻6 号 p. 1005-1011
    発行日: 2023/06/10
    公開日: 2024/06/10
    ジャーナル フリー

    80歳台,男性.筋肉痛,発熱を認め前医に受診した際,血小板減少,急性腎障害,肝障害を認め播種性血管内凝固症候群(DIC)疑いとして紹介受診となった.診断に先行して抗菌薬投与を開始したところ,Jarisch-Herxheimer反応を示唆する徴候を認め,Weil病(黄疸出血性レプトスピラ症)を疑い検体提出に至った.黄疸は遷延したものの,抗菌薬早期開始により比較的良好な経過をたどった.血小板減少に急性腎障害,黄疸を伴う症例ではレプトスピラ症も鑑別に挙げる必要がある.

  • 香川 尚宏, 諏訪 賢一郎, 茂木 聡, 佐野 誠, 坂本 篤志, 成瀬 代士久, 大谷 速人, 早乙女 雅夫, 前田 卓哉, 前川 裕一郎
    2023 年112 巻6 号 p. 1012-1019
    発行日: 2023/06/10
    公開日: 2024/06/10
    ジャーナル フリー

    61歳,男性.38歳までブラジル在住.心電図は心室内伝導障害を認め,心エコーは局所壁運動低下を認めた.心臓MRIは遅延造影を認め,心サルコイドーシスを疑ったが確定診断に至らなかった.南米出身のためシャーガス病を疑ったところ,抗Trypanosoma cruzi抗体陽性であり,シャーガス病と診断した.シャーガス病は日本人には稀な疾患だが,中南米等の流行地域在住歴がある場合は念頭に置くことが大切である.

医学と医療の最前線
  • 赤木 禎治
    2023 年112 巻6 号 p. 1020-1026
    発行日: 2023/06/10
    公開日: 2024/06/10
    ジャーナル フリー

    Structural Heart Interventionは心不全治療を目的とする弁修復治療として知られているが,これとは全く性質を異にする新しいカテゴリーが存在し進歩を遂げている.それは心疾患に起因する脳塞栓に対して脳塞栓の再発予防を目的とするものである.なかでも卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO)はこれまで治療対象として考慮されなかった心内構造であるが,若年成人の脳梗塞発症に大きく関与している可能性がある.PFOの診断には十分なバルサルバ負荷を用いた経胸壁心エコーの実施が重要であり,さらに経食道心エコーで形態評価を行い,リスク評価を行う必要がある.PFOカテーテル治療では対象となる患者の診断や選択に脳卒中医の関与が重要な位置を占める.脳卒中医と循環器内科医の共同チーム(Brain Heart Team)による脳梗塞再発予防の取り組みは,今後の新しい診療体制として形成していくべきモデルとなる.

  • 猪原 匡史
    2023 年112 巻6 号 p. 1027-1033
    発行日: 2023/06/10
    公開日: 2024/06/10
    ジャーナル フリー

    齲蝕や歯周病などを引き起こす口腔細菌の脳卒中発症への関与が示唆されている.歯周粘膜組織では生体防御が脆弱であり,歯科処置や歯磨き等の刺激で,口腔細菌が血液中に移行し菌血症を引き起こす.なかでもコラーゲン結合蛋白Cnmを発現する齲蝕原性細菌の口腔内保有は,脳内出血に関連する.さらに,口腔細菌は毒性・代謝因子を産生し液性機序で脳卒中の発症に関与しうる.最近になり,口腔細菌の腸管移行による腸内細菌叢のディスバイオシス(細菌構成の異常)を介した免疫機序により脳卒中リスクが高まる可能性も明らかになった.これら3つの機序は互いに影響し合いながら,脳卒中の発症に寄与すると推測されている.このような口腔細菌の脳卒中病態への関与を鑑みれば,口腔ケアによる脳卒中低減効果が期待される.未だエビデンスレベルの高い介入研究は存在しないが,今後,脳卒中低減を目指した双方向性の医科―歯科連携が望まれる.

専門医部会
シリーズ:一目瞭然!目で診る症例
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