2019 年 2019 巻 2 号 p. 11-20
カキノヘタムシガの防除適期に散布するジアミド剤のフタモンマダラメイガに対する同時防除効果を調査した.カキノヘタムシガ第1,2 世代幼虫の防除適期におけるジアミド剤の散布は,本害虫による果実被害を対照のフェニトロチオン水和剤と同等に抑えることができた.カキノヘタムシガ第1 世代幼虫の防除適期に散布したフルベンジアミド水和剤のフタモンマダラメイガに対する同時防除効果は,無防除区においてもフタモンマダラメイガ第2 世代幼虫の密度が低く推移することからその有効性を評価できなかった.その一方で,カキノヘタムシガ第2 世代幼虫に対する2 種ジアミド剤の散布は,フタモンマダラメイガ越冬世代(第3 世代)幼虫の密度抑制に有効であった.フタモンマダラメイガの越冬世代幼虫は密度が高いために防除の必要性が高いが,第1,2 世代幼虫は密度が低いことから防除の必要はないと考えられた.以上から,フタモンマダラメイガの被害抑制は,カキノヘタムシガ第2 世代幼虫防除時期のジアミド剤散布で可能と考えられた.