農研機構研究報告
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原著論文
効率的な加工用途向けリンゴ生産のためのカラムナータイプ樹の隔年交互結実法と収穫方法
岩波 宏 馬場 隆士守谷 友紀阪本 大輔花田 俊男
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2021 年 2021 巻 7 号 p. 63-72

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抄録

国内産リンゴ加工原料の需要拡大に応えるために,カラムナータイプのリンゴ樹を用い,年間の労働時間を6 割以上削減して毎年反収で8t が実現可能か検討した.毎年安定した収量を確保するためには,カラムナータイプリンゴの特性である隔年結果性を利用し,無摘果で1 果そうに3 個以上結実させる過着果を樹列毎に隔年で交互に繰り返す隔年交互結実法が有効であった.570 本/10a の密植条件であれば,園地の半分の樹列の着果だけでも,反収で10t 程度になると推定された.着果量が増えると果実品質は低下するが,過着果させても果実重で150g,糖度で10ºBrix は維持していた.大量に着果した果実を樹冠下に広げたネットに落として回収する方法で,収穫時間を削減することも可能であった.着果管理,着色管理を省略し,収穫時間を短縮することで,年間の労働時間を6 割以上削減できると推定された.本研究で提示する省力的な管理で反収を増やす栽培方法は,加工専用のリンゴを生産する手法としては極めて有用であると考えられる.

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