2011 年3 月の東京電力福島第一原子力発電所事故の発生により,牧草地等へ放射性物質を含む粉じんが降下した.農 研機構では,関係する行政機関や公設試とともに,この事態に対処し,飼料の安全を確保するための技術開発に取り組んできた.牧草地では,土壌交換性カリ含量を高めた上で草地更新することが有効であることを確認し,土壌中の交換性カリウム濃度を維持(30 ~40 mg-K2O/100 g 乾土)することが放射性物質の移行低減対策として有効であることを示 した.トウモロコシやイタリアンライグラス等の単年生飼料作物栽培においては,事故以前から畜産農家で行われていた,堆肥施用基準を遵守した栽培により,十分に放射性セシウム(RCs)濃度が低い飼料が得られることを示した.本稿ではその他,飼料イネの移行低減,汚染堆肥利用などの移行低減対策を紹介する.飼料生産分野では取り扱う作物が多く,生産基盤も永年草地,畑,水田等にわたり,立地・土壌条件も異なっていることから,検討すべき要因が多い.そのため,未だに解決できていない課題もあり,今後も長期の取り組みが必要である.