農研機構研究報告
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原著論文
多収水稲品種「やまだわら」「えみだわら」及び「とよめき」の育成
平林 秀介竹内 善信加藤 浩石井 卓朗佐藤 宏之前田 英郎太田 久稔安東 郁男根本 博春原 嘉弘後藤 明俊黒木 慎小林 伸哉常松 浩史田中 淳一出田 収井辺 時雄山口 誠之池ヶ谷 智仁平山 正賢津田 直人松原 一樹梶 亮太溝淵 律子田村 泰章松下 景
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2024 年 2024 巻 19 号 p. 31-

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抄録

「やまだわら」「えみだわら」及び「とよめき」は日印中間型超多収品種「ミズホチカラ」の多収性を取り入れる目的の交配から育成され,それぞれ平成26年,令和4年,平成29年に品種登録された品種である.「やまだわら」「えみだわら」は関東・北陸以西の地域に適し,「とよめき」はそれに加えて東北南部平坦地に適する.「えみだわら」は「やまだわら」より登熟に要する期間が短い.この3品種は耐倒伏性に優れており,多肥栽培によって多収となる.早植では70 kg/a以上,晩植でも60 kg/a前後の精玄米重を示し,一般主食用品種よりも明らかに多収である.玄米品質は「やまだわら」は良質とされる「朝の光」より劣り,「えみだわら」は「朝の光」と同程度で,「とよめき」は「コシヒカリ」より劣る.この3品種の炊飯米の物性は「コシヒカリ」と比較し,テンシプレッサーによる‘表層の硬さ’の値が高く,‘表層の付着量’が少ない.また食味官能試験においても「硬さ」が高く「粘り」が低い.このため,「べたつき」が少なく工場ライン炊飯に適するコメや,ピラフ,チャーハンなどに適するパラリとした食感のコメを求める外食・中食業者の需要に応えることができる.

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著者は自身の論文の著作権を保持し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に対し農研機構研究報告からの論文の出版を許諾する。
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