「やまだわら」「えみだわら」及び「とよめき」は日印中間型超多収品種「ミズホチカラ」の多収性を取り入れる目的の交配から育成され,それぞれ平成26年,令和4年,平成29年に品種登録された品種である.「やまだわら」「えみだわら」は関東・北陸以西の地域に適し,「とよめき」はそれに加えて東北南部平坦地に適する.「えみだわら」は「やまだわら」より登熟に要する期間が短い.この3品種は耐倒伏性に優れており,多肥栽培によって多収となる.早植では70 kg/a以上,晩植でも60 kg/a前後の精玄米重を示し,一般主食用品種よりも明らかに多収である.玄米品質は「やまだわら」は良質とされる「朝の光」より劣り,「えみだわら」は「朝の光」と同程度で,「とよめき」は「コシヒカリ」より劣る.この3品種の炊飯米の物性は「コシヒカリ」と比較し,テンシプレッサーによる‘表層の硬さ’の値が高く,‘表層の付着量’が少ない.また食味官能試験においても「硬さ」が高く「粘り」が低い.このため,「べたつき」が少なく工場ライン炊飯に適するコメや,ピラフ,チャーハンなどに適するパラリとした食感のコメを求める外食・中食業者の需要に応えることができる.