農研機構研究報告
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原著論文
畝立て同時二段局所施肥機によるキャベツの減肥栽培
岡 紀邦 佐野 智人千葉 大基深山 大介関 正裕
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2025 年 2025 巻 21 号 p. 9-

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抄録

畝立て同時二段局所施肥機(野菜用高速局所施肥機)によるキャベツの減化学肥料栽培を試みた.高度化成肥料(14-14-14)を使用して,全面全層の標準量(N-P2O5-K2O各250 kg ha-1,基肥200 kg ha-1,追肥50 kg ha-1)と30%減(基肥140 kg ha-1,追肥35 kg ha-1),二段局所施肥の30%減(追肥なし)を設け,春まき夏どり作型,夏まき年内どり作型,各2作,計4作実施した.二段局所施肥では上層(深さ0~5 cm)に施肥全量の1/5,下層(深さ15cm付近)に4/5を条施肥した.また高度化成肥料を用いた二段局所施肥の50%減,下層に混合堆肥複合肥料を用いた30%減または50%減とした区も春まきと夏まきで1回ずつ試した.キャベツ品種は「おきなSP」を用い,茨城県つくば市(土壌の種類は淡色アロフェン質黒ボク土)で栽培した.収穫後,結球重,球径,球高を測定した.その結果,全面全層で施肥30%減とすると標準施肥に比較して結球重が有意に減少するのに対して,二段局所施肥では30%減でも全面全層の標準施肥と同等のキャベツ結球重を得ることができた.また50%減では春まきでは結球重が減少したが,夏まきではやや低下したものの有意差はなかった.

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著者は自身の論文の著作権を保持し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に対し農研機構研究報告からの論文の出版を許諾する。
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