ネットワークポリマー
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酸無水物によるエポキシ樹脂硬化物の誘電計測による硬化解析
後藤 一敏中野 俊之槙島 聡清水 敏夫
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1997 年 18 巻 4 号 p. 201-207

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抄録

エポキシ樹脂の硬化挙動をミクロ誘電計測法により解析した。硬化モニタリングとして使用する時, ミクロ誘電計測で測定した等価抵抗率の変化はDSCによる熱分析で得た反応率X, ガラス転移温度Tgと良好な関連性があることが必要である。両測定法で得られた実験値から相関性を求め, その結果に対して反応速度論や自由体積理論から得られる理論式との関連性を検討した。酸無水物硬化液状エポキシ樹脂 (アラルダイトCY225/HY925) を供試料としてミクロ誘電計測により90℃から120℃の各温度で等温硬化して等価抵抗率 (ρ) を測定した。ある等価抵抗率になるまでの硬化時間は硬化温度の逆数と直線関係にあり, アレニュウス則で整理できる。DSCによる硬化反応率とガラス転移温度の関係にはDiBenedettoの理論式が適用でき, 実測値と良く一致する。また, 等価抵抗率は硬化温度TcとTgの差である (Tc-Tg) との間には比例関係があり, 自由体積理論から得られる実験式を適用できることを見いだした。

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