人間ドック (Ningen Dock)
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原著
血清尿酸値と内臓脂肪蓄積との関連
松下 啓安田 元高木 重人庄田 昌隆
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2009 年 24 巻 1 号 p. 44-49

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抄録
目的:高尿酸血症は内臓脂肪蓄積を基盤とするメタボリックシンドローム(MS)と関連することが知られている.日本のMS診断基準では腹囲を用いるが,内臓脂肪蓄積の評価としては腹部CTの方が望ましいとされている.そこで腹部CT法により血清尿酸値とMSの基本病態である内臓脂肪蓄積との関連について検討した.
方法:当施設で2007年1月から12月までに腹部CTを施行した人間ドック受診者181名(男性100名,女性81名,平均年齢58.3±12.1歳)を対象とし,血清尿酸値をCT画像より得られた内臓脂肪面積の程度及びMSの有無別で比較した.内臓脂肪面積と血清尿酸値の相関を検討し,さらに高尿酸血症の危険因子に関する多変量解析を行った.
結果:内臓脂肪面積正常群(n=113),異常群(n=68)の血清尿酸値は異常群の方が有意に高かった.同様にMS無群(n=151),MS有群(n=30)の血清尿酸値はMS有群の方が有意に高かった.またMSの構成因子(血圧高値,脂質代謝異常,空腹時高血糖)を有さない群,1個有する群,2個以上有する群の血清尿酸値は構成因子数が多くなるにつれて高くなった.内臓脂肪面積と血清尿酸値は正の相関が得られた.高尿酸血症に対する内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積100cm2以上)のオッズ比は2.748であり有意なリスクの増大がみられた.
結論:血清尿酸値と内臓脂肪蓄積との密接な関連が示された.さらに血清尿酸値はMSの予測因子になりうる可能性があると考えられた.
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© 2009 公益社団法人 日本人間ドック学会
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