人間ドック (Ningen Dock)
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原著
当院人間ドックにおける非アルコール性脂肪性肝疾患と耐糖能異常の関連性
赤池 淳渡邉 不二夫平塚 正幸今村 哲理髭 修平狩野 吉康豊田 成司
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2015 年 30 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

目的:非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)と診断された症例において,線維化進展例の適切な拾い上げが求められている.NAFLDの肝線維化進行に糖尿病が関与し,肝線維化予測にFIB-4 indexが有用との報告がある.そこで,健診におけるNAFLD症例の耐糖能異常と他因子との関係を明らかにすることを目的に検討を行った.
方法:NAFLDと診断された1,638例を対象とし,空腹時血糖(FBS),HbA1cを用いて耐糖能異常の程度でAからDの4群に分類し,A群(FBS<100mg/dLかつHbA1c≦5.5%),B群(FBS 100~109mg/dLもしくはHbA1c 5.6~5.9%),C群(FBS 110~125 mg/dLもしくはHbA1c 6.0~6.4%),D群(FBS 126mg/dL以上もしくはHbA1c 6.5%以上)とした.各群における年齢,性別,腹囲,血圧,脂質異常,血小板,肝機能,FIB-4 indexを比較した.
結果:各群(B/C/D群)の年齢,FIB-4 indexはA群と比較すると有意に高値で,肝機能はA群とD群との間で有意差を認めた.メタボリックシンドローム因子の合併については,血圧は各群で,腹囲はA群とD群で,脂質異常はA群とC,D群の間で有意差を認めた.
結論:耐糖能異常の程度とメタボリックシンドローム因子の合併は相関し,FIB-4 index高値や血小板数低値もみられ肝線維化との関連性が示唆された.健診におけるNAFLDでの進展例拾い上げのために,耐糖能異常やFIB-4 indexの活用が重要と考えられた.

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© 2015 公益社団法人 日本人間ドック学会
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