看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2018福岡
セッションID: 2018.2_S2-1
会議情報

シンポジウム2
高齢者の生活の質を左右する蓄尿症状と薬物療法~過活動膀胱を中心に~
高橋 良輔
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

尿をためて排出するはたらきは膀胱とその先にある尿道でおこなわれ、主に自 律神経が調節しています。尿をためる時は、交感神経の末端からノルアドレナリ ンという神経伝達物質が放出され、膀胱は緩み、尿道は収縮して尿がたまります。 一方、尿を排出する時は、副交感神経の末端からアセチルコリンという神経伝 達物質が放出され、膀胱は収縮し、尿道は緩んで尿が排出されます。これらの メカニズムに異常が生じると、さまざまな排尿に関わる症状がでてきます。

排尿に関わる症状は、「頻尿・尿失禁などの蓄尿症状」と「排尿困難・尿勢 低下などの排尿症状」に分けることができますが、患者 QoLをより低下させるの は前者であることがわかっています。過活動膀胱はその代表的な疾患です。「急 に抑えきれない尿意が起こり我慢できない」「頻尿がある」「我慢しきれず尿が 漏れてしまう」といった症状が特徴であり、本邦の 40 歳以上の 12.4%に認めら れ、800 万人から1000 万人の患者さんがいることが推定されています。治療には、 尿意を数分ずつ我慢する「膀胱訓練」や「骨盤底筋体操」などの行動療法に 加えて、女性では「抗コリン薬」や「β3アドレナリン受容体作動薬」などの薬物 療法を行うことが一般的です。効果はほぼ同等とされていますが、抗コリン薬で は「口内乾燥、便秘、目の調節障害」、β3アドレナリン受容体作動薬では「血 圧上昇、頻脈」などの副作用にも注意する必要があります。また、抗コリン薬は 特殊な緑内障(閉塞隅角緑内障)の患者さんでは禁忌となっています。男性の 場合、過活動膀胱の原因のひとつとして前立腺肥大症が考えられます。主な 症状は「尿の勢いが悪い」「尿が途中で途切れる」などの排尿症状ですが、約 半数の人に尿意切迫感、頻尿、尿失禁などの過活動膀胱の症状がみられます。

このような場合、「抗コリン薬」や「β3アドレナリン受容体作動薬」ではなく、まず「αアドレナリン受容体作動薬」を用います。前立腺や尿道の平滑筋を緩ませて、 尿の通過をよくする薬剤ですが、これによって過活動膀胱の症状もかなりよくなり ます。よくならない場合は、「抗コリン薬」や「β3アドレナリン受容体作動薬」を 追加することもあります。

本講演では、過活動膀胱を中心に高齢者の生活の質を左右する蓄尿症状の メカニズムとその薬物療法について、薬理学的視点からお話ししたいと考えてい ます。

著者関連情報
© 2018 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top