日本食品科学工学会誌
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定量的記述分析法(QDA®法)による異なる品種の豚肉の評価
飯塚 佳子高崎 禎子鈴木 亜由美森田 香絵相島 鐵郎
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2006 年 53 巻 1 号 p. 23-30

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抄録
(1)QDA評価
選別,訓練を経た9名のQDAパネルは豚肉に関して「香ばしい香り」「生臭さ」「甘い香り」「豚の臭み・ケモノ臭」「うま味」「脂っぽさ」「かたさ」「ジューシー感」の8つの官能特性を選出した.それらの中で「豚の臭み・ケモノ臭」,「かたさ」の2特性は試料間に有意な差が見られた.TukeyのHSDによる多重比較から,トウキョウXはLWDよりも有意に「豚の臭み・ケモノ臭」が弱く,柔らかいと評価された.
(2)嗜好評価
「香り」については有意差がなかったが,分散分析の結果,「食感」「総合」ともに試料間に1%水準の有意差が見られた.TukeyのHSDによる多重比較の結果,「食感」ではトウキョウX>バークシャー種>LWDの順に好まれ,各試料間には有意差が見られた.総合的な嗜好では,トウキョウXがバークシャー種,LWDよりも有意に好まれた.
(3)テクスチュロメーター分析結果
トウキョウXが最も柔らかく,LWDが最も硬かった.これはQDAデータの「かたさ」と同様の傾向を示した.凝集性に関しても,トウキョウXが最も咀嚼しやすい肉であった.TukeyのHSDによる多重比較では,トウキョウXと他の2品種の間には有意差が見られた.
(4)GC-MS分析結果
トウキョウXは他の2種に比べ,C5,C6,C8,C9の飽和,不飽和アルコール,アルデヒド類の含有量が少なかった.全体的にピークも小さく,豚の臭み・ケモノ臭が弱いという特徴を裏付けた.
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© 2006 日本食品科学工学会

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