日本食品科学工学会誌
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コーンファイバー分解オリゴ糖投与によるラットの生理学的性状および盲腸内細菌叢に及ぼす影響
出川 洋子柴沼 清高野 勝辨野 義己
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2006 年 53 巻 1 号 p. 48-54

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抄録

コーンファイバーを分解して得たオリゴ糖の組成と,そのオリゴ糖の投与におけるラットの生理学的性状及び盲腸内細菌叢について検討した.
1)コーンファイバー分解オリゴ糖には,構成糖にグルクロン酸を含む成分と,キシロースを主成分とするキシロオリゴ糖の2つの特徴的な成分が含まれていることが示された.
2)オリゴ糖摂取によって,盲腸重量の増加,盲腸内pHの低下,盲腸内のBifidobacteriumの増加が見られた.オリゴ糖がα-アミラーゼ等に分解され難かったこと,保存安定性が高いこと等を考慮すると,その大部分は消化吸収されずに大腸に到達することが推測され,腸内でBifidobacteriumに利用されると考えられる.
3)オリゴ糖摂取によって,悪玉菌であるC. perfringensの増加は認められなかったが,それ以外のClostridiumの増加が見られた.但し,オリゴ糖濃度に依存した傾向ではなかった.
4)オリゴ糖摂取によって,脂肪量(副睾丸周囲,腎周囲,後腹壁)が有意に低下し,血清中トリアシルグリセロールが低下傾向を示した為,脂質代謝改善効果の可能性が示された.

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© 2006 日本食品科学工学会
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