日本食品科学工学会誌
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ブナシメジ(Hypsizigus marmoreus)から分離されたテルペンの腫瘍成長抑制作用
水谷 滋利河合 高志榎 竜嗣佐川 裕章嶋中 一夫酒井 武加藤 郁之進
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2006 年 53 巻 1 号 p. 55-61

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抄録
ブナシメジ子実体粉末の混餌投与による腫瘍成長抑制作用を,マウスS-180固形腫瘍の実験系で確認した.この実験系を用いて,活性成分の探索を行った.まず,極性の異なる溶媒を用いて子実体粉末から活性成分の抽出を行ったところ,酢酸エチルで抽出される画分に,腫瘍成長抑制作用があることが明らかになった.
次に,この抽出画分をシリカゲルカラムにアプライして,さらに分画を行った.その結果,腫瘍の成長を抑制する活性は,アセトンで溶出した画分にみられた.このアセトン溶出画分が,同種腫瘍であるSarcoma-180だけではなく,同系腫瘍のIMC carcinomaの成長を抑制したことより,この活性成分が単に移植拒絶反応を高めただけではなく,腫瘍そのものに対して成長抑制作用を示したと考えられた.
このアセトン溶出画分の主成分が何であるかを解明する目的で, 1H-NMRのスペクトルやMSによる質量分析を行った.その結果,この成分は以前にブナシメジより分離されていたHypsiziprenol A9と一致した.
このアセトン溶出画分をHL-60細胞に作用させ,蛍光顕微鏡による観察とフローサイトメーターによる分析を行った.その結果,14.8μg/mlの濃度で,アポトーシスを誘発することが確認された.
以上の結果より,このアセトン溶出画分の腫瘍成長抑制には,腫瘍細胞に対するアポトーシス誘発が関与している可能性が示唆された.
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© 2006 日本食品科学工学会

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