日本食品科学工学会誌
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技術論文
玄米浸漬時の乳酸菌添加効果
熊谷 武久瀬野 公子渡辺 紀之
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2006 年 53 巻 3 号 p. 179-184

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抄録

乳酸菌添加液に玄米を浸漬することによる乳酸菌の付着性を検討した.
(1)米及び米加工品より分離したL. casei subsp. casei 327を乳酸菌スターターとして,コシヒカリ,ミルキークイーン及びこしいぶきの玄米を用い,玄米浸漬液にスターターを添加して37℃,17時間発酵することにより,乳酸菌の増殖が浸漬液及び玄米で見られた.16SrRNA遺伝子塩基配列により当該菌が増殖したことを確認した.
(2)発酵処理した玄米のpHはおおよそ6であり,炊飯後の米飯の食味に影響を及ぼさなかった.
(3)発酵温度の低下により発酵処理玄米のLactobacillus数が低下し,玄米と浸漬液の配合比及びスターター量の変化では,大きな影響はなかった.
(4)乳酸菌を添加しない区では,乳酸菌以外の菌数が増加し,Enterobacteriaceaeが主要な菌であった.
(5)5菌種,7菌株の乳酸菌,全てで発酵液及び発酵処理玄米のLactobacillus数の増加が見られ,L. acidophilus JCM1132Tのみ生育が悪く,L. casei subsp. casei 327が最も増殖効果が高かった.

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© 2006 日本食品科学工学会
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