(1)乾燥大豆100g当たり総イソフラボン含量は,ツルムスメ大豆が最も多く299mg, 以下ミヤギシロメ,ミヤギミドリの順であり,品種によって2倍以上の差が認められた.イソフラボン組成はMalonylgenistinが最も多く次いでMalonyldaidzinであり,この2つで7割前後を占めていた.
(2)イソフラボンは大豆の浸漬水にはほとんど溶出されなかったが,沸騰後3分間の茹でこぼし操作により10%弱が茹でこぼし水に,30分水煮では24%,60分水煮では30%が大豆から煮汁に溶出した.イソフラボン組成はマロニル化配糖体が減少,グルコシド配糖体は増加し,加熱時間が長くなるほどこの傾向は顕著であった.圧力鍋を用いると加熱時間が短いにもかかわらず,イソフラボンの溶出は通常の水煮より僅かに少ない程度であった.蒸し煮加熱ではイソフラボンの大部分は大豆に残存しており,蒸し器を用いた蒸し煮加熱60分が最もイソフラボンの損失を防ぎ,マロニル化配糖体を減少させグルコシド配糖体を多く生成させる加熱方法であった.
(3)市販水煮大豆のイソフラボン含量は100g当たり60mg程度であり,本実験の60分水煮大豆より全て低含量であった.イソフラボン組成には製品によりかなりの差が認められた.
(4)調製したきな粉のイソフラボンは,マロニル化配糖体の大部分がアセチル化配糖体に変化しており,豆乳,オカラでは,原料大豆のイソフラボンの80%が豆乳に,オカラに20%の分布であった.