日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
技術論文
化工澱粉糊化粒子の膨潤に及ぼすずり応力の影響
朝田 仁鈴木 寛一
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 54 巻 5 号 p. 222-228

詳細
抄録

化工澱粉糊化液にずり応力を負荷すると,ずり応力に依存して流動性が増加あるいは減少する流動挙動が確認された.この原因を化工澱粉の糊化とずり応力負荷に伴う澱粉粒子の膨潤の面から考察するために,市販のリン酸架橋度の異なる化工澱粉を使用し,これらの糊化液の濃度やずり応力負荷時の流動性,みかけ粘度,糊化澱粉粒子径,粒度分布を測定した.
ずり応力負荷によって糊化液の流動性が増加する挙動は,負荷ずり応力によって膨潤澱粉粒子が崩壊して,糊化澱粉粒子径が小さくなることで,みかけ粘度が低下することが確認された.この澱粉粒子が負荷ずり応力で崩壊する現象は,低リン酸架橋度で高濃度の糊化液で見られた.逆に,流動性が減少する挙動は,負荷ずり応力の増加に伴って糊化粒子が再膨潤して粒子径が増大することで,みかけ粘度が発現して起こった.この流動性減少挙動は,高リン酸架橋の高濃度糊化液で認められた.

著者関連情報
© 2007 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top