日本食品科学工学会誌
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濃縮海洋深層水の膜蒸留法による高塩分化と微細藻Dunaliella salinaの培養への応用
島村 智子黒田 さやか竹中 裕行柳下 宏池上 徹榊 啓二受田 浩之
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2008 年 55 巻 12 号 p. 619-624

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抄録

海洋深層水産業において活用方法が模索されていた濃縮海洋深層水の膜蒸留法による濃縮高塩分化を提案した.本膜蒸留装置では,疎水性多孔質PTFE膜を利用することにより,塩分濃度5.2%の濃縮海洋深層水から塩分濃度12.3%の濃縮高塩分化海洋深層水を製造することができた.また,膜蒸留装置の冷却源に海洋深層水を,温源に太陽光を利用することで,0.4t/day/m2のfluxで濃縮高塩分化海洋深層水を製造できる可能性を示した.さらに,本膜蒸留装置により製造した濃縮高塩分化海洋深層水に窒素とリンのみを添加することで,機能性食品素材として注目されている微細藻D. salinaの培養が可能であることを明らかとした.本研究の成果は,これまで廃棄されてきた濃縮海洋深層水を資源として利活用する道を示すものであり,今後の産業化に向けた取り組みが大いに期待される,

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© 2008 日本食品科学工学会
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