日本食品科学工学会誌
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研究ノート
納豆菌胞子形成変異株が納豆の品質に及ぼす影響
三ッ井 陳雄村澤 久司関口 順一
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2010 年 57 巻 11 号 p. 479-482

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抄録

納豆菌胞子を含まない納豆の開発および,胞子形成と納豆の品質の関係を明らかにするため,納豆菌胞子形成変異株であるspo0A, sigH, sigE, sigF, sigKおよびsigGの破壊株を用いて納豆を作製し評価した.その結果,胞子形成初期の変異株であるspo0AおよびsigHの各破壊株では菌膜の被り,糸引きが弱く,L-グルタミン酸含量も少なかった.しかし,胞子形成中期以降の変異株であるsigE, sigF, sigK, sigGの各破壊株では,L-グルタミン酸含量およびアンモニア含量の増加傾向がみられたが,官能評価では野生株との明確な差はみられなかった.これらの結果から,納豆製造には胞子形成の初期が重要であること,納豆菌胞子を含まない納豆を製造するためには,胞子形成が中期以降でストップする納豆菌変異株の利用が有効であることが示された.これらの変異株で作製した納豆は胞子を含まないので,胞子の汚染を避けたい加工食品工業で使用できる可能性がある.

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© 2010 日本食品科学工学会
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