日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
報文
二酸化炭素マイクロバブルによるカシス飲料中のアントシアニンの安定化
川崎 保美大原 浩樹中村 宣貴許 晴怡松本 均鐘ヶ江 穣椎名 武夫
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 59 巻 12 号 p. 611-615

詳細
抄録

溶液中のアントシアニンは,酸化などの要因によって分解される.そこで我々は,カシス飲料を二酸化炭素マイクロバブル処理することによって溶存酸素濃度を低減し,アントシアニン安定化について検討した.
加圧溶解方式により,カシス飲料を二酸化炭素マイクロバブル処理した.発生したバブルの気泡径は64μmであり,マイクロバブルが発生していることを確認した.一方,通常気泡処理によって発生したバブルの気泡径は562μmであった.溶存酸素濃度はマイクロバブル処理では急激に低下し,開始45分後に検出限界(0.1mg/L)以下に達した.一方,通常気泡処理では開始270分後においても3mg/Lであった.
カシス飲料をビンに封入し,37°Cで28日間保存した.アントシアニン量を測定したところ,通常気泡処理やコントロールと比較して,マイクロバブル処理ではアントシアニン残存率は有意に高かった.この結果から,カシス飲料のマイクロバブル処理は,アントシアニンの安定化に有効であることが示唆された.

著者関連情報
© 2012 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top