日本食品科学工学会誌
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技術論文
ナス下漬液からナスニンおよびクロロゲン酸を含む抗酸化性粉末の調製
伊藤 和子阿久津 智美大山 高裕渡邊 恒夫山﨑 公位角張 文紀吉成 修一荒井 一好橋本 啓宇田 靖
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2013 年 60 巻 1 号 p. 30-37

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抄録
高い機能性と美しい色調を持つナス由来のアントシアニン色素「ナスニン」を,現在は廃棄されているナス下漬液から回収して有効活用することを目指して試験を行った.
各種の合成吸着剤の吸着性能を検討し,最も吸着能の高い合成吸着剤としてHP-20を選定した.本吸着剤1mlはナス下漬液約100mlの色素成分を吸着する一方,下漬液中の食塩の95.7%,ミョウバン由来アルミニウムの99.1%が除去できた.
 吸着した色素成分は5mol/l酢酸水溶液で効果的に溶出され,ナスニンの回収率は87%であった.しかし,調製された色素画分にはナスニン以外にクロロゲン酸と未同定のいくつかの成分も混在した.この色素粉末のORAC値は1g当たり10432μmol Trolox当量であり,クロロゲン酸の活性の69 %に匹敵する比較的高い抗酸化性が認められた.
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© 2013 日本食品科学工学会

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