日本食品科学工学会誌
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乳タンパク質分解物がヨーグルトの発酵時間と菌体外多糖の産生および物性に及ぼす影響
北岸 孝之内藤 初代中島 大地中村 尚美坂口 博英根岸 晴夫
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2013 年 60 巻 11 号 p. 635-643

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抄録

乳タンパク質を酵素処理した加水分解物の新たな利用価値を見出すことを目的として,乳タンパク質分解物がヨーグルトの発酵時間,EPSの産生,物性および生菌数に及ぼす影響について検討した.
(1)乳タンパク質分解物には,ヨーグルト発酵時間の短縮,EPS産生量の増加,離水の抑制,および硬さの減少効果があった.その効果はスターターによって異なり,ABT-1を用いたヨーグルトの場合は,カゼイン分解物および乳清タンパク質分解物の両方に効果を認めたが,YC-280を用いたヨーグルトの場合は,これらの効果は乳清タンパク質分解物のみに限定された.
(2)乳タンパク質分解物に含まれるペプチドやアミノ酸が,乳酸菌の代謝を刺激してEPS産生量を増加させ,増加したEPSが離水量や硬さに影響を与えたと考えられた.
(3)乳タンパク質加水分解物を添加したヨーグルトは,ビフィズス菌の生残性を向上させる効果もあり,物性的な商品価値の向上と,EPSやビフィズス菌による健康機能の向上が期待でき,ヨーグルトに様々な有用性をもたらすと考えられた.

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© 2013 日本食品科学工学会
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