日本食品科学工学会誌
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技術論文
高アミロース米の機械的撹拌ゲル化処理を利用した米麺加工法の開発
松山 信悟柴田 真理朗杉山 純一藤田 かおり蔦 瑞樹吉村 正俊粉川 美踏平野 由香里荒木 徹也鍋谷 浩志
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2014 年 61 巻 3 号 p. 127-133

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抄録

炊飯した高アミロース米に対して機械的撹拌を施すことで弾力性のあるゲルが形成されることが報告されている.そこで本研究では加工条件を操作して調製したゲルを押し出し式製麺機に通して麺帯状に成型することで米ゲル麺試料を得た.得られた米ゲル試料ならびに米ゲル麺試料の物性を測定し,加工条件と試料の物性との関係を明らかにした.結果を以下に示す.
(1)米を炊飯する際に加える水の量と撹拌時間を操作して調製した米ゲルの動的粘弾性を測定した.その結果,炊飯時の加水量が少ないほど,また撹拌時間が長いほど米ゲル試料の貯蔵弾性率G’,損失弾性率G’’および複素弾性率G*の値が大きくなる傾向がみられた.また,これらの米ゲルを押し出し式製麺機に通して得られた米ゲル麺試料に破断試験を行った.その結果,米ゲル麺の破断応力は米ゲルの動的粘弾性と同様の傾向を示し,炊飯時の加水量が少ないほど,また撹拌時間が長いほど大きな値となった.
(2)米ゲル撹拌時の圧力を0.07MPa,0.04MPaおよび0.01MPaに減圧操作して米ゲルを調製し,撹拌時の圧力が米ゲルの動的粘弾性に与える影響を調べた.その結果,撹拌時の圧力が低いほど米ゲル試料の貯蔵弾性率G’,損失弾性率G’’および複素弾性率G*の値が大きくなる傾向がみられた.また,これらのゲルを製麺して破断試験を行った結果,米ゲル麺の破断応力は撹拌時の圧力が低いほど大きな値となった.また,0.01MPaで撹拌した米ゲルの麺はコシの強い麺になることが明らかになった.
今後は高アミロース米を用いたより実用的な製麺技術として本研究の手法を確立されることが期待される.

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© 2014 日本食品科学工学会
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