日本食品科学工学会誌
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ブロッコリの諸成分変化に及ぼすブランチングとマイクロ波加熱の影響
町田 元気折笠 貴寛今泉 鉄平田川 彰男
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2014 年 61 巻 7 号 p. 278-285

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抄録

ブロッコリの熱湯浸漬過程において水溶性成分のカリウムおよびクロロフィル溶出現象,および色彩の変化を調査した.また,ブロッコリの加熱へマイクロ波を適用し,その有用性を調査した.その結果,以下の知見が得られた.
1)ブロッコリの熱湯浸漬過程において,カリウム溶出については拡散方程式解の球モデル,クロロフィル溶出については一次反応速度式で表すことができる.
2)色彩の変化については,L*a*b*表色系のa*値の変化としてゼロ次反応速度式による解析が可能である.
3)マイクロ波処理は熱湯浸漬処理よりもPODの失活に要する時間が短く,マイクロ波により処理時間の短縮が可能である.
4)マイクロ波処理は熱湯浸漬ブランチングと比べ解凍時のフリードリップ発生を抑制する.
5) 2つの加熱法では彩度の増加が見られるが,解凍後には彩度の変化は見られない.
6)マイクロ波処理の方が熱湯浸漬処理よりアスコルビン酸の損失を抑制する.
これらのことから,ブロッコリの加熱処理へのマイクロ波の適用は有用であることが示唆されたが,品質の評価においては更なる調査を行うことが必要である.

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© 2014 日本食品科学工学会
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