2015 年 62 巻 11 号 p. 534-540
コーヒーの機能性に対するエージング処理の影響を明らかにするため,本試験ではマウスの血中サイトカイン量に対する影響を検証した.
市販のコーヒー焙煎豆は,通常エージング処理が施されている.エージング処理によって,コーヒー抽出液中の多くの香気成分の減少が認められている.マウスにエージング処理時間の異なる焙煎豆抽出液を投与したところ,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆は血中IFN-γ,IL-2,及びIL-12に対し最も高い増加効果が認められた.IFN-γの増加には2種類の含硫化合物と3種類のketone類が,IL-2の増加には3種類の含硫化合物と2種類のpyrazine類が,およびIL-12の増加には4種類のpyrazine類がそれぞれ関与し,何れもエージング処理時間の経過と共に減少する成分であった.以上の結果から,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆抽出液は,血中のIFN-γ,IL-2,およびIL-12の増加効果を有することが分かった.またエージング処理は焙煎豆中の有効成分の減少を招き,血中のIFN-γ,IL-2,およびIL-12の増加効果を弱めることが分かった.