日本食品科学工学会誌
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技術論文
湯種中の加熱糊化澱粉が生地の製パン性に与える影響
山田 大樹伊勢木 智行井上 俊逸吉野 信次坪井 一将村山 大樹デニス· サンチャゴ小疇 浩山内 宏昭
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キーワード: 製パン性, 湯種, 小麦澱粉, 糊化
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2015 年 62 巻 11 号 p. 547-554

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抄録

湯種製法で製パンしたパンにおける湯種製造中に糊化した小麦澱粉の製パン性に及ぼす影響について,凍結乾燥グルテンと小麦澱粉で調製した疑似湯種を用いて検討を行った.その結果,疑似湯種中の糊化した小麦澱粉は,GP,GRD,SLVをコントロールに比べて有意に低下させ,擬似湯種中の小麦澱粉の糊化度とGRD,SLVとの間には非常に高い負の相関があることが判った.これより,湯種中の糊化小麦澱粉は生地の製パン性を低下させる主要因であり,湯種パンの外観,色相の特徴であるクラストのL*の低下とケービングに対しても,大きく影響していることが明らかになった.
さらに,糊化した小麦澱粉を製パンに用いることによって,得られたパンの水分含量と保水性が増加し,それによりパン中の澱粉の老化が抑制され,保存中のパンクラムの老化を抑制できることが明らかになった.

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© 2015 日本食品科学工学会
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