日本食品科学工学会誌
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農林61号全粒粉の主要アレルゲンの同定とその性質
竹本 和仁浅野 真理子高橋 享子
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2015 年 62 巻 2 号 p. 104-113

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抄録

国産小麦農林61号のアレルゲン·タンパク質を明らかにするため,全粒粉から水溶性画分(F1),塩可溶性画分(F2),エタノール可溶性画分(F3)を得た.小麦アレルギー患児13名の血清による膜免疫反応の結果,F3が全ての患児血清と陽性反応を示した.F3画分の2D-PAGEと膜免疫反応の陽性スポットのLC-MS/MS分析から主要アレルゲンは,α-グリアジン,α/β-グリアジン,γ-グリアジン,LMW-GSと推定された.農林61号の水可溶性画分,塩可溶性画分,アルコール可溶性画分には,小麦アレルギーの主要アレルゲンの一つとされているω-5グリアジンは,検出されなかった.F3のアレルゲン性はpH 10で加熱されると僅かに低減化を示したが,高温·高圧に対してアレルゲン性は安定的であった.

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© 2015 日本食品科学工学会
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