日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
技術論文
吸着材処理およびUF膜処理によるそば蜂蜜の風味改良の検討
加島 優里南谷 臣昭川島 拓司中村 正
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 63 巻 10 号 p. 455-463

詳細
抄録

蜜源植物の異なる多くの蜂蜜の中でそば蜂蜜は高い抗酸化活性を有しアンチエイジング効果が期待できる食品として消費されている.しかし,そば蜂蜜にはmalty flavorと呼ばれる特有臭が有り,市場において敬遠されている.そこで,malty flavorの主因とみられる成分が3-methylbutanalであるとした報告を参考に,我々はそば蜂蜜から吸着材(シリカゲル,活性炭)あるいはUF膜処理によるアルデヒド類の除去を試みた.各処理蜂蜜は20℃で2∼4ヵ月保存後のmalty flavorの増減を評価する官能試験も行った.その結果,シリカゲルミズカソーブA処理そば蜂蜜が風味の改善では良好な成績であった.UF膜処理も同様に風味の改良では有効であったが,保存中に特異臭を再発させる傾向があった.各処理後の3-methylbutanalの減少率はシリカゲルミズカソーブA処理で21%,活性炭で2〜34%,UF膜処理で96%であり,UF膜処理による同成分の減少率が最も高かったが,保存中にpentanalが増加するもう一つの特徴が見られた.また,抗酸化活性に関わる総ポリフェノール量およびDPPHラジカル消去活性で,前者はいずれの処理後も増減はなく,後者は保存中に増加したことからそば蜂蜜の機能性は本処理後も維持されていた.

著者関連情報
© 2016 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top