魚類の脂質中にはマニュアル法では測定できない脂溶性ヨウ素化合物があり,魚種によっては定量値が低くなることが分かった.脂溶性ヨウ素化合物を測定するためにはアルカリ灰化処理が有効と考えられたが,GC法は真度の制御に課題があった.一方,アルカリ灰化—ICP-MS法は検量線,真度,精度および適用性が良好であり,脂溶性ヨウ素化合物も測定することができた.ただし,定量限界はマニュアル法の0.01mg/kgに及ばず0.20mg/kgであった.そのため,成分表に収載された魚類59食品のうち,27食品の一部については,同法では測定値を得ることができないものと考えられた.そこで,ヨウ素の含有量が0.20mg/kg以上の魚類に対し,同法を適用することを提案した.