日本食品科学工学会誌
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エージング処理により減少するコーヒー焙煎豆抽出液中の血中尿酸上昇抑制物質の同定とその作用機序
鷲家 勇紀西川 友章藤野 槌美
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2018 年 65 巻 2 号 p. 37-44

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抄録

市販のコーヒー焙煎豆には,通常エージング処理が施されており,この処理によって,コーヒー抽出液中の多くの香気成分が減少するだけでなく,機能性にも影響することが明らかになってきている.そこで本研究ではマウスにエージング処理時間の異なる焙煎豆の抽出液を投与し,血中尿酸上昇抑制効果を検証した.その結果,エージング処理していないコーヒー焙煎豆抽出液に血中尿酸上昇抑制効果が認められ,処理時間が48時間以内であれば効果が認められることが分かった.また,この血中尿酸上昇抑制効果には,pyrazine類1成分,および硫黄化合物2成分がそれぞれ関与し,何れもエージング処理時間の経過と共に減少する成分であった.

さらに作用のメカニズムとして,キサンチンオキシダーゼ活性への影響を検証した.その結果,エージング処理が48時間以内のコーヒー,および有効成分として特定した,エージング処理によって減少する香気成分3成分に,キサンチンオキシダーゼ活性の阻害作用が認められた.以上の結果から,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆抽出液は,血中尿酸値の上昇抑制効果を有し,エージング処理時間の経過と共にその効果は弱まることが分かった.

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© 2018 日本食品科学工学会
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