日本食品科学工学会誌
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研究ノート
ナチュラルチーズ添加パンの官能評価プロファイリング
森田 亜紀藤本 章人早川 文代香西 みどり
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2019 年 66 巻 11 号 p. 432-439

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抄録

ナチュラルチーズ13種類の成分とこれらチーズを小麦粉に対して10%添加したパン生地およびパンの評価,さらにパンの風味の評価用語を選定し,各試料の官能特性を明らかにし,以下の結果を得た.

(1)ナチュラルチーズを添加したパンはクラストの焼き色が濃くなり,比容積は低下した.パン生地のガス発生量とパンの比容積の間に相関は見られなかったことより,比容積の低下は,イーストに対する発酵阻害ではなくグルテンの形成阻害であると考えられた.

(2)分析型パネルによる評価用語収集により,香り44語,味8語からなる計52語が得られた.この用語リストに基づき,分析型パネルによる討議の結果,チーズパンの官能評価に適した用語として香り9語,味5語を選定した.

(3)分散分析の結果,14語中13語に試料間の有意差が見られた.熟成期間の長いチーズを添加したパンはチーズを焼いたような香りやうま味,後味が強く,カビによる熟成を行ったチーズを添加したパンは,カビのような香りが強かった.シェーブルタイプのチーズを添加したパンはカビのような香りやグリーンな香りに加えて,エグ味も強かった.

(4)主成分分析を行った結果,第2主成分までが意味のある主成分として抽出された.第1主成分は「チーズの濃厚感」,第2主成分は「チーズパンらしい香ばしさ」,と解釈した.試料の主成分得点と因子負荷量を用いて散布図を作成し,チーズパンの風味の官能特性マッピングを得た.

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© 2019 日本食品科学工学会
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