日本食品科学工学会誌
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鳩麦糠からの糠床調製および米糠床との比較
木村 洋渡邉 正一波多野 淳子矢野 寿美子木村 康子三嶋 真由美土井 琴美初見 泰寛河邉 真也宮﨑 泰幸
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2020 年 67 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

鳩麦糠床の調製条件の最適化により,日々野菜を漬けるための充分な発酵性と酸味を持つ熟成鳩麦糠床の開発に成功した.熟成鳩麦糠床は米糠床より高い酸味を発現し,スターターとしても有効な性能を発現した.以上の結果は鳩麦糠床の最適水分(52.6%)の追跡により,鳩麦糠床に特徴的な粘着性を抑制したことにより達成された.鳩麦糠床は米糠床に特徴的なプロピオン酸臭を発せず,代わって炭素数4と5の分岐のアルコールとカルボン酸がGCMS分析で検出された.酵母によるアミノ酸代謝で生成したこれらの化合物が鳩麦糠床の特徴的臭いと関係しているであろう.今後は,鳩麦糠床と米糠床の菌数と菌叢の違いを明らかし,両糠床の酸味と香気成分の違いの由来を解明し,鳩麦糠床の実用化を促進する.

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