2020 年 67 巻 2 号 p. 67-74
富山県に伝承されるあゆなれずしの品質に及ぼす麹使用製法の影響を評価するため,麹使用(有麹区)と非使用(無麹区)のなれずしの熟成過程における化学的,微生物学的特性を比較した.有麹区,無麹区ともに熟成中に乳酸の生成とそれに伴うpH低下,遊離アミノ酸の増加,炭水化物および固形分の減少が認められたが,有麹区でその傾向が大きかった.また,両区ともに,熟成過程で乳酸菌が増加したが,無麹区で増加の程度は大きかった.乳酸菌叢は,有麹区では熟成期間を通じてLactobacillus sakeiが優勢であり,無麹区では熟成中に同菌種の割合は低下した.本研究で用いた米麹は,あゆなれずしにおいてL.sakeiが優勢となる安定な乳酸菌叢と良好な風味の形成に寄与することが示唆された.