2021 年 68 巻 11 号 p. 421-429
大気中電子放出デバイスをイオン源とした新規IMSを用いて,ヨーグルト発酵管理への応用可能性を検討した.IMSを用いて発酵中のヨーグルトのヘッドスペースガスを測定したところ,発酵途中から複数のピークが検出され,発酵の進行に伴いそのピーク強度が増大した.発酵に伴い増大するIMSピークの強度は,pHおよび酸度と強い相関性が認められ,新規IMSを用いることで,ヨーグルトの発酵過程を評価できる可能性が示された.また,新規IMSによるヨーグルトの香気成分分析の可能性を検討した結果,アセトアルデヒド,アセトイン,および2,3-ブタンジオンは酢酸ピークと重複したが,ギ酸,乳酸,酪酸,ヘキサン酸,オクタン酸,およびデカン酸は新規IMSによって推定できる可能性が示唆された.