日本食品科学工学会誌
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68 巻, 11 号
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技術論文
  • 鴻丸 翔平, 松尾 俊輔, 岩松 正, 種田 明子, 根岸 晴夫
    2021 年 68 巻 11 号 p. 421-429
    発行日: 2021/11/15
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    大気中電子放出デバイスをイオン源とした新規IMSを用いて,ヨーグルト発酵管理への応用可能性を検討した.IMSを用いて発酵中のヨーグルトのヘッドスペースガスを測定したところ,発酵途中から複数のピークが検出され,発酵の進行に伴いそのピーク強度が増大した.発酵に伴い増大するIMSピークの強度は,pHおよび酸度と強い相関性が認められ,新規IMSを用いることで,ヨーグルトの発酵過程を評価できる可能性が示された.また,新規IMSによるヨーグルトの香気成分分析の可能性を検討した結果,アセトアルデヒド,アセトイン,および2,3-ブタンジオンは酢酸ピークと重複したが,ギ酸,乳酸,酪酸,ヘキサン酸,オクタン酸,およびデカン酸は新規IMSによって推定できる可能性が示唆された.

報告
  • 前田 剛希, 広瀬 直人, 恩田 聡, 大嶺 悠太, 竹内 誠人
    2021 年 68 巻 11 号 p. 430-436
    発行日: 2021/11/15
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    「ゴールドバレル」と「沖農P17」の自然夏実について,温度別の呼吸量を調べた結果,いずれの品種も13℃前後を境に呼吸量が増加することが明らかになった.両品種について貯蔵試験した結果,いずれの品種も25℃では貯蔵後2,3日以内に食味等が顕著に低下した.5℃または10℃では貯蔵後1週間程度の貯蔵が可能であった.しかしながら,冷蔵庫出庫後は,常温貯蔵時と同様に2,3日で食味等が顕著に低下することから,消費者に届くまでコールドチェーンを構築する必要があると推察された.

  • 小川 美香子, 松本 隆志
    2021 年 68 巻 11 号 p. 437-446
    発行日: 2021/11/15
    公開日: 2021/12/02
    ジャーナル フリー

    JFS-B規格は食品安全を脅かす危害要因の分析と制御を含み,コーデックスHACCPの7 原則12 手順に対応する適合証明である.本研究では,食品衛生法の改正により制度化(義務化)された「HACCPに基づく衛生管理」に対応し,適合証明取得数の伸びが著しいJFS-B規格に焦点をあてた.本研究の目的は,JFS-B規格の普及促進および運用支援に向けた一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)の施策を導出することである.

    2020年7月から8月にJFS-B規格の適合証明を取得済みの企業を対象に調査を行い,アンケート票を送付した692事業所のうち395事業所から回答を得た(回収率57 %).その結果,取得の契機はHACCP制度化への対応(75 %),取引先要請(67 %),食品安全レベルの向上(65 %)で,85 %が従業員教育,33 %がトップの理解とリードを苦労した点として挙げた.75 %は外部コンサルタントの支援を受け,7割が1年未満で適合証明を取得し,8割が期待を達成できたと評価していた.理解が難しかった要求事項はサプライヤーや食品防御に関する項目で,コンサルタントやガイドラインを活用していた.これらの結果を踏まえ,更なる普及策として,(1)理解が難しかった要求事項への対策,(2)輸出状況から考えるJFS-Cへのステップアップ,(3)認知度の向上,(4)監査員等の人材育成,(5)協働を促すプラットフォームについての方策を提言した.

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