日本食品科学工学会誌
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総説
QOLの向上に資する機能性食品素材の開発と実用化に関する研究
米谷 俊
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2022 年 69 巻 5 号 p. 185-201

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抄録

「食を通じて人々の健康の維持・向上に貢献する」ことを目的に, 機能性食品素材・食品の研究開発を行った.

リン酸化オリゴ糖カルシウム (POsCa) , 高度分岐環状デキストリン (HBCD) およびα-グルコシルヘスペリジン (Hsp-G) を酵素を用いて合成した. POsCaは齲蝕予防に利用され, HBCDは持久力を高め, Hsp-Gは血液循環を改善し, それぞれ実用化できた.

その後, これらの研究から得られた知識と経験に基づいて, 研究を拡大した. 口腔衛生分野では, 咀嚼, 嚥下しやすい高齢者向けのビスケットおよびたんぱく分解酵素により舌苔を除去し口臭を抑制するタブレットを開発した. 持久力研究は, 血糖コントロールによる糖尿病患者向けのせんべいの開発と食後の血糖上昇を抑制する柿ポリフェノールの研究に繋がった. 血液改善の研究で得られた自律神経の知識を用いて, GABAによりストレスを低減できるチョコレートの開発と睡眠を促進するornithineの探索ができた.

さらに, DOHaD説に基づく, 栄養不良の母親から生まれた子の成長後の健康に関する研究では, 世代を超えた栄養摂取の状態が非常に重要であることが明らかとなった.

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© 2022 日本食品科学工学会
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