日本食品科学工学会誌
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高タンパク低アミロース米「きらほ」米飯の冷蔵保存下における物性変化
小舘 琢磨 藤岡 智明仲條 眞介岡留 博司小出 章二
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2023 年 70 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

本研究では, 窒素追肥技術により栽培・収穫した低アミロース米品種「きらほ」の多肥栽培米 (以下「高タンパクきらほ」) および標肥栽培米 (以下「きらほ」) と主食用うるち品種「ひとめぼれ」の白米米飯, 保蔵温度および保蔵時間別の物性を測定した. その結果, 以下の知見を得た. 「高タンパクきらほ」の集団粒の硬さは, 「ひとめぼれ」と比較して, いずれも有意に柔らかく, 特に10 ℃および5 ℃の保存下では72時間後の硬さは, 24時間後の「ひとめぼれ」と同程度の硬さを保っていた. また, 付着性および粘りは, 10 ℃および5 ℃の保存下では, 48時間後に急激な低下が見られるものの, 減少幅は「きらほ」より小さかった. 一方, 単粒において, 表層硬さは5 ℃では, 72時間後の「高タンパクきらほ」の硬さは, 24時間後の「ひとめぼれ」の硬さと同程度だった. また, 表層の付着性は, 「高タンパクきらほ」においては, 10℃では72時間後, 5 ℃では48時間後まで減少傾向だったものの, 「ひとめぼれ」より緩やかな減少を示していた. さらに, 全体の硬さは, 「ひとめぼれ」は10℃では48時間後, 5 ℃では24時間後に急速に硬くなっていたが, 「高タンパクきらほ」は, 10 ℃および5 ℃では, 24時間後までは処理時の硬さを維持していた. 以上, 栽培技術によりタンパク質含有率を高めた低アミロース米「きらほ」は, 「ひとめぼれ」よりも保存温度および保存時間における米飯物性の変動が小さいことから, チルド米飯用としての新たな活路が期待できる.

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© 2023 日本食品科学工学会
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