2024 年 71 巻 5 号 p. 159-166
異なるブランチング処理方法 (HW, ST, SHS) で製造されたニンジンジュースを対象として, 嗜好型官能評価手法の1つであるコンジョイント分析を適用することで, 消費者の嗜好特性を評価した. その結果を用い, 嗜好特性を考慮したニンジンジュースの品質評価モデルの構築を試みた. その結果, 嗜好特性を考慮しないQIと嗜好特性を考慮したQI’の間には結果の解釈に違いが生じた. 嗜好特性を考慮した単一指標による品質評価手法を実際の食品加工操作に展開することにより, 消費者の嗜好特性を反映した商品開発が期待される. また, コンジョイント分析では今回用いた栄養成分や色彩以外にも消費者の嗜好度を左右する製品の品質, 例えば, 産地, 価格およびテクスチャーを用いて重要度を算出することによって, 多角的な視点から製品の価値を定量化することも可能となると考えられ, 今後の研究の進展が望まれる.