日本食品科学工学会誌
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無菌化包装米飯の長期保存でのn-ヘキサナールの挙動と品質に与える包装資材の影響
野呂 渉髙橋 誠赤塚 昌一奥西 智哉渡辺 聡
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論文ID: NSKKK-D-22-00049

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抄録

無菌化包装米飯は, 常温で保存でき簡便な加熱調理で食べられることから, その需要は年々増加している. 本研究では, 無菌化包装米飯の賞味期限延長のために, 賞味期限設定の指標となるにおい成分を探索し, これが品質に及ぼす影響を検討した. そのために, 異なる包装資材で包装された無菌化包装米飯による15カ月間の長期保存試験を行い, 容器内酸素濃度やにおい成分の変化を調べた. Monolithic Material Sorptive Extraction (MMSE) 法によるGC/MS分析の結果, n-ヘキサナールは他のにおい成分よりも顕著に検出され, 保存期間が長く保存温度が高いほど増加した. また, 保存期間中の容器内酸素濃度は, 脱酸素剤によりいずれの包装容器においても低く保持されていたが, 酸素透過度の高い包装資材ほどn-ヘキサナールが増加した. このことから, 大気中から包装資材を通過して侵入した酸素は米飯と素早く反応すると推察され, より酸素透過度の低い包装資材の使用が無菌化包装米飯の賞味期限延長に有効と考えられた. 保存試験を通じての無菌化包装米飯のn-ヘキサナールと官能評価の間には有意な負の相関 (香り:r = -0.73, 総合評価:r = -0.79) が認められ, n-ヘキサナールは無菌化包装米飯の賞味期限設定の有望な指標になると考えられた.

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