論文ID: NSKKK-D-23-00018
脂質分解酵素(リパーゼ)は、生物が脂質を代謝吸収する初期反応を担い、一般にはグリセリンの1級水酸基に結合した脂肪酸を特異的に加水分解すると理解されているが、実際にはアシル基転移も起きるので反応は厳密ではない。本研究では、反応系中の水やアルコール濃度、温度といった比較的簡単な条件設定でリパーゼの基質特異性を制御し、目的物の選択的合成にリパーゼが有効なことを見出した。そしてバイオディーゼル酵素合成、1または2-MAGの特異的合成条件を設定し、これを応用してトリアシルグリセロールの2位脂肪酸組成を分析する方法も確立した。本分析法は従来法が対象範囲外としていた、短鎖脂肪酸や高度不飽和脂肪酸を含む油脂を対象に含む特長を示す。