日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
アミロペクチン短鎖割合の増加した水稲品種を用いた,グルテンフリー・添加物フリー米粉パンの硬化性の軽減
青木 法明竹牟 禮穣濵﨑 翔悟松田 慶五梅本 貴之
著者情報
ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: NSKKK-D-25-00026

詳細
抄録

本研究の目的は,2種類の米粉を混合することにより,膨らみを維持しつつ硬くなりにくいグルテンフリーかつ増粘剤不使用のパンの製造条件を明らかにすることである.米粉パンの製パンに適する品種「ミズホチカラ」の米粉に,アミロペクチン短鎖割合の高い粳品種「やわらまる」や糯品種「やわ恋もち」の米粉を混合して製パンを行った.「やわらまる」の米粉を置換した場合,40 %までの置換率で比容積が4.0(mL/g)以上あった.「やわらまる」を40 %置換して作られたパンの3日貯蔵後の硬さは,「ミズホチカラ」のみで作られたパンと比較して約18 %低かった(p < 0.05).「やわ恋もち」の米粉を置換した場合,20 %の置換率で比容積は約3.3(mL/g)であったが,これより高い置換率ではパンの膨らみが著しく低下した.「やわ恋もち」の米粉を20 %置換したパンの製パン3日後の硬さは,「ミズホチカラ」のみから作られたパンと比較して約18 %低かった(p < 0.01).これらの結果から,アミロペクチン側鎖の短鎖割合の高い澱粉を持つ品種の米粉を用いることで,増粘剤等の添加を行わなくても,パンの老化を明らかに抑制できることを示した.

著者関連情報
© 日本食品科学工学会
前の記事
feedback
Top