不足しがちな栄養素を補い,健康機能性が期待でき,嗜好性に優れた雑穀ごはんの配合を明らかにするため,雑穀類の混合がごはんの食味に及ぼす影響と雑穀ごはんの受容性を調べた.もち麦は食物繊維とカルシウムを多く含み,アマランサスは食物繊維,カルシウム,マグネシウム,鉄,亜鉛,ビタミンB6の良い供給源であると考えられた.もち麦とアマランサスは配合割合が増えるとごはんの色相にL*値の低下とa*値の上昇をもたらし見た目をくすませる.少量の黒米を混合すると大幅なL*値の低下とa*値の上昇により,くすみがマスキングされた.モチキビを配合するとb*値が増加し明るい色になった.穀類の炊飯香気をGCMSで分析したところ,もち麦は他の穀類と大きく異なり,hexanal,2-octenal,2-nonenal,2,4-decadienal,3-octen-2-one,3,5-octadien-2-one等が多く含まれていた.雑穀ごはんの食味は黒米を配合すると外観の評価が高くなり,芳香成分を含むモチキビを配合するとにおいの評価が高い傾向がみられた.雑穀ごはんでは,モチ種雑穀の配合が高いほど粘りが強くなった.30 %もち麦-5 %黒米-3 %アマランサス-3 %モチアワ-3 %モチキビを配合した雑穀ごはんについて栄養素と健康機能性の情報を提示した上で受容性調査を行ったところ,食味の評価は「良い,好き」と「普通,気にならない」の回答が90 %以上と好評であり,全体の82 %が継続摂取に前向きであったことから,栄養バランス,健康機能性と食味の良さを兼ね備えた配合であると考えられる.