日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
凍結乾燥魚肉に関する研究(第2報)
凍結乾燥魚肉の品質に及ぼす乾燥温度の影響
上岡 康達岡 弘康末光 栄充上田 稔
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1964 年 11 巻 11 号 p. 484-490

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抄録

凍結乾燥する場合の乾燥温度が凍結乾燥魚肉の品質にどのように影響するかをみる目的で,マアジとマダイを凍結後,乾燥板温度25~90℃の各種温度で乾燥し,その間における肉蛋白の変性を調べるとともに,乾燥後の吸水率,吸水後の保水力ならびに肉組織の変化を調べてつぎの結果を得た。
(1) 乾燥板温度70℃(その際の品温54~56℃)までの乾燥では,塩溶性およびミオシン区両蛋白の溶出量からみた蛋白の変性がほとんどおきていなかった。また流動複屈折も死後硬直前のタイの場合にはっきり観察され,上記の結果を裏付けた。しかし80℃以上の乾燥では肉蛋白の変化が明らかに認められた。
(2) 肉蛋白の変性がほとんど認められない70℃以下の乾燥温度においても,吸水率および吸水後の肉組織に明瞭な差がみられ,低い温度で乾燥された魚肉ほど吸水率は高く,吸水後の筋繊維も生肉に類似していた。また吸水後の保水力も概して高い傾向を示した。
(3) 以上の結果から魚肉の品質を損なわないで上げうる乾燥温度の限界-加熱許容温度は本実験の条件下において35℃とみなされた。

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