日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ガンマ線照射揚げかまぼこのアミノ酸含量およびその貯蔵中における変化
奥 忠武
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 30 巻 3 号 p. 145-150

詳細
抄録

揚げかまぼこにガンマ線照射(3 kGy)を行なった場合,また,照射品を引き続き貯蔵した場合のアミノ酸含量の変化を調べる目的で,スケトウダラ冷凍すり身を主原料とした揚げかまぼこを用い,揚げかまぼことそのエキス中のアミノ酸量を測定した。同時に,総菌数,粗タンパクなども測り,以下の結果を得た。
(1) 揚げかまぼこの18種の個別アミノ酸の照射による損失はほとんどなかった。(2) 照射により,メチオニンの酸化生成物であるメチオニンスルホキシドおよびスルホンが僅かに生成された。 (3) 照射品の30℃貯蔵では, 1g当りの総菌数は照射前で<30, 6~7日後に104~106に, 21日後に107を越えた。照射品の全アミノ酸含量は14日後においても照射直後と大差がなく,21日後に約4.5%の減少が認められた。しかしながら,エキス中の全アミノ酸含量は経日的に急増し, 21日後に照射直後の3.5倍に達し,微生物による揚げかまぼこタンパクの分解,易溶化が明らかに認められた。(4)照射品を10℃で56日間貯蔵した場合,揚げかまぼこおよびエキス中のアミノ酸含量に顕著な変化は全く認められず,照射と低温貯蔵の併用効果が明白であった。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top