日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
大豆多糖類加工品の調理加工食品への利用
大豆多糖類加工品の食品への利用研究(第2報)
中尾 行宏矢田 英雄
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1984 年 31 巻 5 号 p. 306-313

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抄録

大豆多糖類加工品の調理加工食品への利用について濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白,小麦グルテンなどと比較検討し,次の結果が得られた。
(1) 肉/脂肪のモデル系に大豆多糖類加工品を加えると,練食品の硬さが増加し,焙焼時のクッキングロスが減少する。これらの効果は濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白,小麦グルテンの場合より大きい。
(2) 野菜からの分離水を吸水する能力は大豆多糖類加工品が濃縮大豆蛋白,分離大豆蛋白,パン粉,小麦グルテンより著しく大きい。
(3) ハンバーグへ大豆多糖類加工品を添加すると生地の硬さが増加し,成形性が向上する。又焙焼時のクッキングロスが減少する。
(4) ギョウザの具へ大豆多糖類加工品を添加すると,成形時の具の硬さが増加し具の蒸煮時のクッキングロスが減少する。具の保水性が良く,具の遊離液が皮へ移行しないことは,品質上好ましいことである。
(5) ホテトコロッケ,クリームコロッケの中身へ大豆多糖類加工品を添加すると,中身の硬さが増加し成形性が改良される。ポテトコロッケのフライ時の破裂が誠少する傾向が認められる。
以上のように大豆多糖類加工品はすぐれた吸水・保水剤であり種々の調理加工食品への利用が期待される。

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