日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ヘスペリジンを除去した温州ミカン果汁の品質について
イオン交換樹脂によるカンキツ果汁の品質改善と果皮利用に関する研究(第5報)
前田 久夫高橋 保男三宅 正起伊福 靖
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1985 年 32 巻 10 号 p. 759-764

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抄録

搾汁直後の温州ミカン果汁中のヘスペリジンを合成吸着剤で吸着除去した果汁の品質について調べ,次の結果を得た。
(1) ヘスペリジン含量75mg区のびん詰製品は製造直後からヘスペリジンが急速に不溶化し,50mg区,25mg区を含め可溶性ヘスペリジンが10mg以下でほぼ平衡となった。
(2) びん詰製品上澄部のパルプは,不溶化したヘスペリジンと結合して沈降し,0.2%程度でほぼ平衡となった。
(3) 25mg区,50mg区の製品は,びん壁にフロックが付着したが,75mg区はフロックが急速に沈降した。除去区はフロックの形成が全く認められなかった。
(4) 製品上澄部のパルプの粒度分布は,時間の経過と共に2μ以下に片寄ったが,除去区は1~10μの広い範囲に分散した。
(5) 製品上澄部の果汁成分は,20℃, 20日間の貯蔵で対照区に比べ除去区のパルプ含量が約5倍,カロチノイドが約2.5倍,濁度が約4倍も高い値を示し,精油が製造直後の65%も保持された。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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