日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
キャッサバおよびヤムビーン根茎の構成糖に及ぼす貯蔵と加熱処理の影響
川端 晶子澤山 茂デルロザリオ リカード R.ノエル マリサ G.
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1986 年 33 巻 6 号 p. 441-449

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抄録
キャッサバおよびヤムビーン根茎の収穫直後,貯蔵中および加熱処理による構成糖の変化を高速液体クロマトグラフを用いて定量し,検討した.根茎類は室温(28~32℃,相対湿度66~88%)で,18~28日間貯蔵された.キャッサバ根茎中の合計糖含量は,貯蔵初期2週間に顕著な増加を示した.合計糖含量に対する比率では,シュクロースの含量が最も高かった.貯蔵期間中,フラクトースとグルコースが漸増するのに対し,シュクロースは漸減した.リナマリン(青酸配糖体)は,貯蔵1週間目に顕著な増加を示したが,その後減少し,貯蔵終期には殆んど消失していた.ヤムビーン根茎中からは,シュクロース,フラクトース,グルコースの3種の糖のみが定量された.4画分に分別定量したペクチン質では,少量ながら,貯蔵終期において水溶性ペクチンの増加の傾向が認められた.走査型電子顕微鏡によって組織を観察した結果,収穫直後に比べて,貯蔵28日後の細胞組織は崩壊し,また,加熱によるデンプンの変化などをとらえることができた.
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