日本食品科学工学会誌
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凍結全卵品質の同一包装缶内における変化
野並 慶宣赤澤 真由美
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1995 年 42 巻 10 号 p. 808-814

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抄録

-5℃, -8℃, -20℃で凍結した16kg缶入凍結全卵の外側と中心部より試料を採取し,これら両者の固形物含量,見掛けの粘度,泡立ち性,ゲルろ過で分別したリポ蛋白質の凝集の程度を比較し,また100gの全卵液を-6--20℃で短時間に凍結し,凍結後貯蔵5日間における粘度およびリポ蛋白質の凝集の程度の冷却温度による差を検討し,次の結果を得た.
i): 缶入凍結全卵の外側の固形物含量は中心部のそれよりも少なく,この差は冷却温度-5℃の場合に最も著しい.
ii): 見掛けの粘度は,-5℃, -8℃凍結の場合中心部より外側のものが小さいが,-20℃凍結の場合はこれと反対の傾向を示すから,中心部と外側の粘度の差は固形物含量の差のみによるものではない.
iii): 起泡力は凍結貯蔵30日間のものでは,-5℃, -20℃凍結のいずれの場合も中心部より外側のものが大きい.
iv): リポ蛋白質の凝集の程度は,-8℃凍結の場合外側と中心部とでは異なり,またこれら両者における凝集のパターンは-5℃, -20℃凍結の場合のパターンとも異なる.
v): 凍結による全卵液の粘度の増加およびリポ蛋白質の凝集は,冷却温度-12℃以下では凍結後1日で認められるが,-8℃以上では凍結後5日間経過してもこれらの変化は明らかではない.

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