日本食品科学工学会誌
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42 巻, 10 号
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  • 佐藤 恵美子, 三木 英三, 合谷 祥一, 山野 善正
    1995 年 42 巻 10 号 p. 737-747
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    「煮つめ法」,「滴下法」を用いて調製した胡麻豆腐の調製時における攪拌速度と加熱時間の影響について,テクスチャー測定,クリープ測定,走査型電子顕微鏡による構造観察を行って検討したところ,次のような結果が得られた.
    (1) 「煮つめ法」により調製した胡麻豆腐のクリープ曲線は四要素モデル(E0, E1, ηN, η1)として解析可能であった.硬さおよび瞬間弾性率,フォークト体弾性率(E0, E1)は,どの攪拌速度においても加熱25分(谷の部分)で最も軟らかくなり,その後加熱時間の増加とともに硬くなった.また,その加熱25分の調製条件が構造的にも均一な蜂の巣状構造を形成した.
    「滴下法」によるテクスチャーと加熱時間における一次式の傾きは,加熱45分までの時間依存性を示すもので,攪拌速度が高くなる程,大きくなり,付着性には攪拌速度による依存性が認められた.ニュートン体粘性率,フォークト体粘性率(ηN, η1)は加熱時間にともなう変化がテクスチャーの付着性と類似していた.
    (2) 走査型顕微鏡観察の結果,加熱15分では不均一な部分があり,加熱25分で均一な空胞が形成され蜂の巣状を示した.さらに加熱攪拌を続けると蜂の巣状構造は崩壊し始めた,250rpm 25minの試料が空胞の形成がよく,最も均一な蜂の巣状の空胞の集合体が観察された.
    (3) 胡麻豆腐は葛澱粉を主体とするゲルであり,胡麻の蛋白質と脂質が関与している相分離モデルであると推察される.
  • 乙部 和紀, 内藤 成弘, 杉山 純一, 菊池 祐二
    1995 年 42 巻 10 号 p. 748-755
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    米飯の動的粘弾性と官能評価との関連,ならびに検査試料の同一性について検討するため,平成3-4年度産の18種類の粳米を用いて官能検査を行うと同時に,供試米飯から採取した米飯粒の動的粘弾性測定を行った.産出年度の違いによる測定値変動や,動的粘弾性パラメータと官能評価項目間の相関を検討した結果,次のような知見が得られた.
    (1) 官能検査を繰り返した際の米飯試料の品種特性の再現性を動的粘弾性の面から調べた結果,tanδでは再現性が認められたが,他のパラメータは再現性が低かった.
    (2) 平成3-4年度産の日本晴とコシヒカリの機器測定結果から,コシヒカリでは5%有意水準で年度間差が認められたのに対して,日本晴では差が認められなかった.また,日本晴・コシヒカリ両品種と他の品種との測定値による有意差は,tanδでは5%有意水準で差が認められたが,G', G”では差の認められない品種が多かった.
    (3) 2年間にわたって行った官能試験と動的粘弾性測定の結果を総合して相関を調べた結果,tanδと「粘り」では0.855, G'と「かたさ」では0.817の相関が見られた.また,G”はどの評価項目とも関連しないことが明らかとなった.
    (4) 動的粘弾性パラメータ相互の相関は,tanδとG'では-0.708, G', G”では0.722の相関がみられが,G'とtanδでは無相関であった.
    (5) 産出年度ごとにG'と「かたさ」,およびtanδと「粘り」の単回帰式を求め,各回帰係数の産出年度間差について有意差検定を行った結果,危険率20%でも有意な差は認められなかった.
  • 藤野 博史, 六車 三治男, 森 和彦, 津江野 大輔, 笹木 明弘, 伊藤 肇躬, 大橋 登美男
    1995 年 42 巻 10 号 p. 756-761
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    WPIの加熱凝集温度を肉加工の加熱処理条件に近付ける目的で,WPIに減圧状態で予備的な高温加熱処理(予備加熱と略)を実施し,その予備加熱WPIの熱凝集性に及ぼす影響を検討した.その結果,次のことが明らかになった.
    (1) 直線的温度上昇法により予備加熱WPIの濁度変化を検討したところ120℃, 1時間の予備加熱により最大濁度発生時の温度がわずかに低下した.
    (2) SDS-PAGEにより分析したところ,予備加熱により高分子量のブロードなバンドやサンプル濃縮用ゲルに進入できないバンドも認められた.またβ-Lgがα-Laよりも予備加熱により変性しやすいことが明らかになった.
    (3) DSC分析により予備加熱によってWPIの吸熱ピークがわずかに高くなり(72.5→74.2℃),エンタルピーが半分に減少し,予備加熱によりタンパク質の変性が進んでいることが推察された.
    (4) 200mM NaClの添加により濁度上昇開始温度が約20℃も高温側にシフトしたが,120℃,1時間の予備加熱により,濁度上昇開始温度は60℃,最大濁度発生時の温度は約67℃を示すまで低下することが認められた.また,Ca2+を添加することにより,さらに予備加熱WPIの熱凝集温度を低下させることが明らかになった.
  • ホエータンパク質の有効利用に関する研究(第4報)
    藤野 博史, 六車 三治男, 緒方 朋子, 伊藤 肇躬, 大橋 登美男
    1995 年 42 巻 10 号 p. 762-768
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    WPIの有効利用を検討する目的で,WPIに減圧状態で予備的な高温加熱処理(予備加熱と略)を実施し,その予備加熱WPIの加熱ゲル物性に及ぼす影響を検討した.得られた結果の要点は次のとおりである.
    (1)比較的低温(70℃)で加熱した場合でも,予備加熱(120℃,1時間)したWPIは対照WPIよりもやや硬いゲルを形成した.予備加熱WPIを90および100℃で加熱すると,対照WPIよりもかなり強固でしかも弾性率の高いゲルが形成された.
    (2)予備加熱WPIの粘性挙動がレオペクシーからチキソトロピーへと変化することから,ゲル化に必要な活性化エネルギーの現象を伴った,ゲル化の前兆現象が予備加熱したWPIに生じていることが示唆された.
    (3)HPLC分析により,予備加熱WPIに構造変化を想定するようなタンパク質分子の分子形状構造および表面荷電の変化が認められた.とくにβ-Lg画分の変化が著しく,加熱ゲル物性の予備加熱による変化の主要因はβ-Lgの熱変性によるものと推察された.
  • ホエータンパク質の有効利用に関する研究(第5報)
    藤野 博史, 六車 三治男, 鬼木 浩子, 伊藤 肇躬, 大橋 登美男
    1995 年 42 巻 10 号 p. 769-775
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ホエータンパク質の機能特性について検討する一環として,WPIの加熱凝集性に及ぼすCa2+の影響について検討した.その結果,次のことが明らかになった.
    まず,WPI中のCa2+を原子吸光分析により測定した結果,10%WPI溶液は3.01mMのCa2+を含有していた.透析によってWPI溶液から1mMの遊離のCa2+が除去された.蒸溜水に対して透析する前に10%WPI溶液に50mMCa2+を添加し,その後蒸溜水に対して透析した結果,10.15mMCa2+がWPIに結合した.2%WPI溶液を5mMCa2+存在下で80℃で30分間加熱すると,80000×gで30分間の遠心によって沈殿してくるWPIに,1.27mMCa2+が結合することが明らかになった.WPI溶液の濁度の経時変化を1分間に3℃ずつ,30℃から95℃まで上昇させるようにセットした直線的温度上昇法により測定したところ,透析処理は1%のWPI溶液の加熱凝集性にほとんど影響を及ぼさなかった.1mMCa2+が添加されるとWPIの加熱凝集性はわずかに増加した.WPI溶液の加熱凝集温度は5mMCa2+によって著しく減少した.WPIの透析実験中に得た濁度の変化はWPIへ直接結合するCa2+がWPIの加熱凝集に関与していることを示唆している.2mMDTTの添加は未透析および透析WPI溶液の加熱凝集温度を減少させた.これらの結果は,結合および遊離のCa2+の双方がWPIの加熱凝集に影響を及ぼして,さらにDTT存在下で発生するWPI分子の構造変化がWPIの加熱凝集性の及ぼすCa2+の効果をさらに増大させることを示唆している.
  • 市 隆人, 東村 豊, 片山 豪, 香田 隆俊, 清水 孝重, 多田 幹郎
    1995 年 42 巻 10 号 p. 776-783
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    天然食品着色料の品質評価の観点から,クチナシ完熟果実より黄色素を抽出・分離し,主にLC-MSおよび1H-NMRを用いて構造決定を行った.さらに,クロシンの生合成についての知見を得ることを目的として,クチナシ果実の結実から完熟に至る生育過程の黄色素成分の含有量とその組成変化を,HPLCによって,経時的に追跡して,次の結果を得た.
    (1)完熟クチナシ果実中には,クロセチンはほとんど存在せず,全色素の71.6%を占めるクロシン(crocetin-digentiobiosideester)以外に,6つの黄色素成分[crocetin-monogentiobiosidemonoglucosideester(5.8%),trans型およびcis型のcrocetin-mono-gentiobiosideester(6.2%),crocetin-diglucosideester(10.8%),trans型およびcis型のcrocetin-mono-glucosideester(3.3%)]が存在している.
    (2)肥大成長を続けている生長過程のクチナシ果実中には,ほとんどカロテノイド色素が認められず,成熟過程の開始後からクロセチン誘導体の生合成が始まり,完熟期にかけて急速な蓄積が起こり,完熟果実のクロセチン誘導体含有量は,4.5mg/g(乾物)であった.成熟過程におけるクロセチン誘導体の組成比は,crocetin-monogentiobiosideester,crocetin-diglucosideester,crocetin-monoglucosideesterの比率が比較的高いのに対して,完熟期に達するに従ってcrocetin(crocetin-digentiobiosideester)の比率が高くなった.この組成変化の結果より,クロセチン誘導体の幾つかは,クロセチン生合成の中間前躯体であることが推察された.
  • 市 隆人, 東村 豊, 片山 豪, 香田 隆俊, 清水 孝重, 多田 幹郎
    1995 年 42 巻 10 号 p. 784-789
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    クチナシ果実より得られるクチナシ黄色素は麺類,乳飲料,キャンディー等の加工食品を黄色に着色する目的で広く利用されている.このクチナシ黄色素は,クロセチンを母核とし,それにエステル結合している糖の種類と数の異なる7成分から成っている.
    本研究では,これら7種のクロセチン誘導体の個々について,色調,抗酸化能,耐熱性および耐光性を調べ,実用に際して有益と思われる以下の結果を得た.
    (1) 前報より7成分の極大吸収波長は,クロセチンにエステル結合している糖の種類と数によって僅かづつ異なり,digentiobioside ester, monogentiobioside-monoglucoside ester, monogentiobioside ester, diglucoside ester, monoglucoside esterの順に,3-4nmづつ短波長にシフトしていた.色調に関しては,明度には7成分間に差が無かったが,色相を表すtan-1(b/a)の値は,上記の順に高く,彩度を表すchromaは逆に低くなった.
    (2) 7成分はいずれも,リノール酸の酸化を80%程度抑制し,実用に際しての抗酸化効果が期待された.
    (3) 7成分はいずれも高い耐熱性を有しており,80℃で120分の熱処理によっても,85%以上の色素残存率を示した.
    (4) 耐光性については,450nm以上の高波長域の光に対しては安定であるが,それより低波長の光,特に250-300nmの紫外領域の光によって著しい褪色が認められ,最大効果波長は275nm (±10nm)であった.なお,クロセチン母核にゲンチオビオースがエステル結合している誘導体の耐光性は,その他の成分に比べて優れていることを認めた.
  • 新本 洋士, 小堀 真珠子, 津志田 藤二郎, 篠原 和毅, 阿南 豊正
    1995 年 42 巻 10 号 p. 790-795
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    TMV外被蛋白質遺伝子を導入した組換えトマト果実の安全性評価の一環としてS. typhimuriumを用いた変異原性試験(エームス試験)を行なった.トマト破砕後の果汁および凍結乾燥トマトのエタノール抽出物を調製し,これらの変異原性を検討した.その結果,組換え体,非組換え体からの試料について,いずれも変異原性は認められなかった.
  • 千葉 実, 南澤 正敏, 河野 澄夫, 岩元 睦夫
    1995 年 42 巻 10 号 p. 796-801
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    IBM PCで取得された近赤外スペクトルデータをもとに,国内で広く利用されているNEC PCを用い主成分分析を行う手法を開発するとともに,その応用の一つとして小麦粉の用途特性(パン用粉,中華麺用粉,菓子用粉,麺用粉)の分類を試み次の結果を得た.
    1. 近赤外分光装置に付属したIBM PCから近赤外スペクトルを直接取り出し,アスキー形式に変換するプログラムを作成した.
    2. NEC PC上で作動する市販の主成分分析プログラムを,アスキー形式のデータが直接入力でき,701個の全スペクトルデータが取り扱えるよう改良した.
    3. 小麦粉試料の2次微分スペクトルの特異的な波長におけるdd2log(1/Rλ)値をもとに,主成分分析を行った結果,第1主成分と第3主成分の散布図において,小麦粉を用途別に明確に分類できた.
    4. 主成分の固有ベクトル,試料の化学成分,理化学的特性などから,第1主成分は試料の粒度に関連する因子,第3主成分はデンプンに関連する因子と判断された.
    以上のことから,近赤外スペクトルの主成分分析を行うことにより,複数の成分および特性によって決定される小麦粉の用途特性が分類可能であることが示唆された.
  • 蔡 護華, 橋永 文男, 上野 博久, 渡部 由香
    1995 年 42 巻 10 号 p. 802-807
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ブンタン漬け加工用果皮煮沸液からフラボノイドとリモノイドの回収実験を試みた.リモノイド類の精製はカラムクロマトグラフィーにより行った.
    1. ブンタン煮沸液のフラボノイドは大部分がナリンギンであった.その含量は1500ppm以上に達し,冷却することにより,効果的に回収され,精製すると,純度は97.9%に達した.
    2. XAD-2及びHP-20樹脂によりブンタン煮沸液から効果的にリモノイドと配糖体類が回収できた.また,リモノイドなどの有用成分の精製,分離にHP樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーが有効であることがわかり,シリカゲルC-300カラムクロマトグラフィーはリモノイドの単離に有効であった.
    3. ブンタン煮沸液中のリモノイドはデオキシリモニン,イチャンギン,デアセチルノミリン,リモニン,ノミリン及びオバクノンであった.総リモノイド濃度は66ppmであり,そのうちの85%はリモニン,ノミリン,イチャンギンであった.総リモノイドの回収率は75.5%であり,そのうち,ノミリンがもっとも効果的に回収できた(88.6%).
  • 野並 慶宣, 赤澤 真由美
    1995 年 42 巻 10 号 p. 808-814
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    -5℃, -8℃, -20℃で凍結した16kg缶入凍結全卵の外側と中心部より試料を採取し,これら両者の固形物含量,見掛けの粘度,泡立ち性,ゲルろ過で分別したリポ蛋白質の凝集の程度を比較し,また100gの全卵液を-6--20℃で短時間に凍結し,凍結後貯蔵5日間における粘度およびリポ蛋白質の凝集の程度の冷却温度による差を検討し,次の結果を得た.
    i): 缶入凍結全卵の外側の固形物含量は中心部のそれよりも少なく,この差は冷却温度-5℃の場合に最も著しい.
    ii): 見掛けの粘度は,-5℃, -8℃凍結の場合中心部より外側のものが小さいが,-20℃凍結の場合はこれと反対の傾向を示すから,中心部と外側の粘度の差は固形物含量の差のみによるものではない.
    iii): 起泡力は凍結貯蔵30日間のものでは,-5℃, -20℃凍結のいずれの場合も中心部より外側のものが大きい.
    iv): リポ蛋白質の凝集の程度は,-8℃凍結の場合外側と中心部とでは異なり,またこれら両者における凝集のパターンは-5℃, -20℃凍結の場合のパターンとも異なる.
    v): 凍結による全卵液の粘度の増加およびリポ蛋白質の凝集は,冷却温度-12℃以下では凍結後1日で認められるが,-8℃以上では凍結後5日間経過してもこれらの変化は明らかではない.
  • サビニアノ ナオミ, 石橋 憲一, 弘中 和憲
    1995 年 42 巻 10 号 p. 815-819
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    三品種のバレイショ(ベニマル,トヨシロ,コナフブキ)を用い,収穫直後と5℃で6ヵ月貯蔵後のものから調製した澱粉の諸性状におよぼす貯蔵の影響を調べた.その結果,6ヵ月貯蔵後のバレイショより調製した澱粉の平均粒径,リン含量,ブラベンダー最高粘度およびブレークダウンは収穫直後のものより低かった.また,糊化開始温度は貯蔵の影響をほとんど受けないことが分かった.ベニマル種の澱粉の最高粘度に達する温度は貯蔵により上昇するが,トヨシロとコナフブキのそれは低下した.1%澱粉溶液の粘性および弾性は貯蔵とともに減少したが,青価は増加した.ブラベンダー最高粘度およびブレークダウンとリン含量との間には,それぞれ高度の相関が認められた.
  • 村田 容常, 野田 郁子, 本間 清一
    1995 年 42 巻 10 号 p. 820-826
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    市販のリンゴ5品種(ふじ,紅玉,ジョナゴールド,陸奥,つがる)について,クロロゲン酸,(-)-エピカテキン,カテキンなどのポリフェノール含量並びにポリフェノール酸化酵素活性と褐変の関係を検討した.リンゴの褐変度はジュースにし,色差計で評価した.ポリフェノール類は高速液体クロマトグラフィーで分析した.つがる以外はクロロゲン酸が主要なポリフェノールであり,果肉100g当たり3-25mg程度含まれていた.クロロゲン酸やカテキン類は褐変に伴い速やかに消失した.ポリフェノール酸化酵素活性の測定にはクロロゲン酸及びカテキンを基質として用いた.カテキンはクロロゲン酸より褐変により強く関与した.つがるはポリフェノール含量が少なく,ポリフェノール酸化酵素活性が高いにも係わらず褐変度が最小であった.むつは,ポリフェノール含量,ポリフェノール酸化酵素活性,褐変度いずれも最大であった.ポリフェノール含量と褐変度に相関が認められた.
  • 阿部 宏喜, 大熊 恵美子
    1995 年 42 巻 10 号 p. 827-834
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィによりヒスチジン関連ジペプチド.すなわちカルノシン,アンセリンおよびバレニンを分析し,食肉加工製品中の肉種の判別の可能性を検討した.牛,豚,馬,鹿,鶏および七面鳥肉におけるこれらジペプチドの分布およびジペプチドの比率,すなわちカルノシン/アンセリンおよびバレニン/アンセリンは種特異的であった.これらの比率から,牛,豚あるいは鶏肉を単独で用いたほとんどの食肉加工製品の肉種の判別が可能であった.水分,脂質含量あるいはその他の添加物は肉種の判別に影響を与えなかった.また,これらの肉の内,二種を混合した食肉加工製品については,混合比率とジペプチド比の検量線を用いることにより,ほとんどの製品で半定量的に肉種を判別することが可能であった.
  • 清澤 功, 松山 惇, 新井 千秋, 瀬戸口 達哉
    1995 年 42 巻 10 号 p. 835-842
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    大豆および大豆食品のメタノール抽出液を調製し,MNNGおよびTrp-P-1によるSalmonella typhimurium TA 1535/pSK 1002の誘発SOS反応に対する抑制効果を調べた.また,同抽出液のイソフラボン含量を測定した.大豆および豆乳抽出液は,変異原物質によるSOS反応をほとんど抑制しなかった.発酵食品の抑制率は,未発酵食品より高かったが,納豆および醤油は未発酵食品の場合と変わらなかった.抑制率の高かったテンペおよび味噌抽出液では,ダイゼインおよびゲニステインを多く含有した.一方,抑制率の低い未発酵食品,醤油および納豆抽出液では,イソフラボン配糖体を多く含有した.また,発酵豆乳の抑制率は,LactobacillusbulgaricusまたはStreptococcus thermophilusの単独培養では低かったが,Bifidobacterium longumの単独培養およびこれら3菌種の混合倍養では高かった.
  • 藤井 繁佳
    1995 年 42 巻 10 号 p. 843-848
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    エーテル架橋タピオカ澱粉の糊化特性を示差熱分析,顕微鏡写真及びブラベンダービスコグラフにて調査した.更に,当該澱粉のビスコグラムに及ぼす天然安定剤の影響についてもあわせて検討した.天然安定剤として代表的なゼラチン,ローカストビーンガム,キサンタンガム,カラギーナン,グアーガム,ペクチンとタマリンドガムを対象とした.その結果,天然安定剤はエーテル架橋タピオカ澱粉のビスコグラムを変化させることが明らかとなった.グアーガムとローカストビーンガムは,95℃に達した後の粘度を上昇させた.他の天然安定剤は逆に粘度を低減させた.また,グアーガムを除く他の安定剤はエーテル架橋タピオカ澱粉の糊化開始温度を,上昇させ糊化の抑制を示唆した.保水性あるいはゲル形成性が高い安定剤ほど,エーテル架橋タピオカ澱粉が糊化する際に必要とする水分を制限しているものと推察された.ゼラチンとエーテル架橋タピオカ澱粉との交互作用をビスコグラム上で検討したところ,澱粉濃度が高いときは,ゼラチンの添加は糊化を抑制し,澱粉濃度が低い時には,糊化を促進するという興味ある知見を得た.
  • 平成7年度日本食品科学工学会奨励賞
    受田 浩之
    1995 年 42 巻 10 号 p. 849-858
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 大東 肇
    1995 年 42 巻 10 号 p. 859-868
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 垣内 典夫
    1995 年 42 巻 10 号 p. 869
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 チセ
    1995 年 42 巻 10 号 p. 870
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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