日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
Debaryomyces hansenii KYT-1が生産するキラー因子による産膜性酵母の増殖抑制
横井 健二中嶋 寛鈴木 チセ新国 佐幸
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 43 巻 10 号 p. 1152-1157

詳細
抄録

発酵食品の製造,流通過程での品質劣化の原因となる産膜性酵母の増殖を抑制するため,耐塩性キラー酵母KYT-1株を分離し,生産するキラー因子の性質を調べ,以下の結果を得た.
(1) KYT-1株はDebaryomyces hanseniiと同定された.
(2) KYT-1株は,Hansenula anomala IFO 0569, D. hanseii IFO 0855と野生産膜性酵母D. hansenii S1に対してキラー活性を示した.
(3) KYT-1株の培養液は限外ろ過,ブチルトヨパール650Sカラム,セファデックスG25カラムにより部分精製され,その比活性は約110倍に上昇した.
(4) 部分精製キラー因子は15℃以下,pH 3-5.5で安定で,食塩濃度が増加するにつれ見かけの活性は強くなった.
(5) 漬物の漬け液において,1×105/mlの産膜性酵母H. anomala IFO 0569, D. hansenii IFO 0855, D. hanseniiS1の増殖阻止に必要な部分精製キラー因子の量は,それぞれ1.8μg, 22μg, 7.4μgであった.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top