日本食品科学工学会誌
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全脂粉乳溶液における蒸気圧と粘度の関係
村松 良樹田川 彰男北村 豊田中 親紀
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1996 年 43 巻 3 号 p. 299-305

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抄録
6~40% (w/w)の可溶固形分濃度に調製した粉乳溶液の水蒸気圧,密度,動粘度をそれぞれ測定した.蒸気圧は静的方法により10~60℃の温度で,密度はピクノメータ法,動粘度はウベローデ粘度計を用い,0~60℃の温度で測定した.
測定結果を考察し,以下の結論を得た.
(1) 粉乳溶液の蒸気圧と温度の関係は,6~30%程の濃度まではClapeyronの式で充分精度良く表すことができた.また,それ以上の高濃度では,Clapeyronの式に温度補正項を加えたAntoineの式が適当である.
(2) 粉乳溶液の密度と温度の関係は,Alfredの式に良く適合した.密度と動粘度の測定結果から算出した粉乳溶液の粘度と温度の関係は,20%程度まではAndradeの式で表すことができるが,高濃度になるとAndradeの式に温度補正項を加えた式を用いるのが適当である.
(3) 同型である蒸気圧と温度,粘度と温度の相関式から,蒸気圧と粘度の相関式を導き,蒸気圧と粘度との間の関係を調べた.その結果,粉乳溶液において蒸気圧と粘度との間には,次の関係が成り立つことがわかった.
これから,比較的容易に得ることができる粘度の値から蒸気圧を推定することが可能である.
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